
巨大な脳みその化け物になってしまったライデン博士。奴の前方にはホログラムのシールドが2つ張られている。
「みんな、まずはシールドを破壊するんだ」
「心得たぁ!」
「みんな、頑張れー」
エーリッヒ大佐は早速、必殺技を発動させるための準備行動に入る。
ヨウスケは活力スプレーで俺たち全員のパワーを強化。
俺は”炎の鞭”、レイさんは”ハリケーン”、ミカエルは”クイックドロー”でシールドを攻撃。
さすがサイバータワーのボスといったところか、シールドはこの程度では壊れない。
「良いねぇ。君たちの性能データが取れて良い気分だ」
1つ目のシールドが修復プログラムを発動。シールドの耐久力が回復してしまった!
2つ目のシールドは保護プログラムを発動。シールドとライデン博士の守りを更に固める。
これじゃいくら攻撃してもライデン博士どころかシールドすら破壊できる気がしねーぞ、オイ!
「さぁ、手始めに君たちの叫びを聞かせてくれ!」
ライデン博士は本体の培養カプセルから霧を発生させた。霧は部屋中を覆う。
頭部に妙な違和感を感じる。頭が寒い。
辺りを見回すと、なんとレイさんとヨウスケ、そしてエーリッヒ大佐の頭がハゲていた!
ということは俺も……?
「タツヤさん、その頭どうしちゃったんだよ!?」
「レイさんこそツルッパゲになってるぞオイ!」
「おれもハゲちゃってる!? そんなの嫌だあああ!!」
頭をツルッパゲにされた俺たちは深い悲しみに包まれた。
あれ? この展開、過去にも何度かあったような……。
「ライデン博士、いくら何でもこんな仕打ちはひどすぎる! 科学者としてそこまで落ちぶれてしまったのか!」
俺たちと同じくハゲさせられてしまったエーリッヒ大佐は怒りと同時に深い悲しみに包まれていた。
この野郎、イケメンのエーリッヒ大佐をハゲさせるとは何て卑劣な奴なんだ!
このマッドサイエンティスト野郎もハゲさせてやりてーけど、既にハゲている脳みそ野郎をハゲさせても意味ねーからな……。
「ハッハッハ! 実にお似合いの姿だ。では、次の計測といこう」
ライデン博士は本体の培養カプセルから電流を放電し、俺たち全員に電撃を浴びせた!
「「「「「アッー!」」」」」
痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)
俺たちは大ダメージ負った上に体が麻痺してしまった。
「おや、もう終わりかね? まだデータの収集を続けたいところなのに」
ライデン博士は本体の培養カプセルにつながっている電源コードを動かし、それを触手のように操る。
そして、その触手で俺とレイさんに巻きついてきた!
「おい、俺は触手プレイなんて趣味はねーぞ!」
「さっさと離せやこの野郎!」
俺とレイさんは怒りの叫びをあげるが、ハゲた上に体が痺れて抵抗する力も無い。
「怖がらなくて良いんだよ。ゆっくり遊んであげるからね」
すると、ライデン博士は俺とレイさんの体中を触手で撫で回してきた!
「オォン! ケツが……! ンアッー!」
「やめろぉ! そんなことしたらイッちまう……」
ちくしょう! ハゲさせて麻痺させて触手プレイとは何て変態野郎なんだ!
(みんな、もうすぐ必殺技を発動させるから待っていてくれ……!)
エーリッヒ大佐は必殺技を撃つ体勢に入った。しかし、ハゲている状態では必殺技を放っても十分な威力を発揮することはできないだろう。
「やっと動けるようになった! みんな、反撃いくよ!」
麻痺から立ち直ったヨウスケの必殺技”超回復術”によって俺たち全員が体力と状態異常を回復。頭も元通りになったぜ。
「ありがとう、ヨウスケ君。あの狂った博士には報いを受けてもらう!」
エーリッヒ大佐のお供ロボが閃光を発生させると同時に、巨大な稲妻がライデン博士とシールドを取り囲んだ!
これによって2つのシールドは消滅。ライデン博士もダメージを受けた。
「やるじゃないか、エーリッヒ大佐」
「ライデン博士、あなたの悪行もここまでだ!」
シールドを破壊できたのはいいけど、俺とレイさんがまだ触手に拘束されていることを忘れないでくれよ……。
「では、次の測定といこうか」
ライデン博士は本体の培養カプセルから上空に電流を放射。上空に飛んだ電流は、無数の雷となって俺たちの頭上に落雷した!
さっきの電流と違って広範囲では無いが、連続ヒットしたら大変だ。
特に身体を拘束されている俺とレイさんがまともに受けたら即死しそうだぜ。
「みんなを守れ。マジックシールド!」
エーリッヒ大佐がすぐにお供ロボへ指示を出し、お供ロボがホログラムのバリアを展開した。
バリアは雷撃の威力を大幅に軽減。しかし、それでもなかなか痛い!
「タツヤ、レイ、今助けにいくぞ」
ミカエルが俺とレイさんに接近。手持ちの武器を二丁拳銃から双剣に切り替え、俺とレイさんの身体を拘束している触手を斬った!
「ふぅ、危なかったぜぇ~」
「サンキューな、ミカエル!」
これで俺とレイさんは解放された。レイさんは怒りをあらわにしながらライデン博士の元へ突っ走る。
「さっきはよくもやってくれたな! この変態野郎! じゃあオラオラ来いよオラァ!!」
レイさんは必殺技”おじさんブロー”で怒涛の連続攻撃をライデン博士へぶつける!
「……なんて力だ」
培養カプセル越しでも本体にダメージはきっちり通るようだな。
「オラァ! ハゲをハゲさせても意味ねーけど、お前にはハゲてもらうぜぇ?」
俺は”髪なんか必要ねぇんだよ!”でライデン博士を怒りを込めて斬りつける!
「人をハゲさせたんだから痛い目にあってもらうよー」
ヨウスケは手持ちの棒でライデン博士を殴りまくる!
「これで決める!」
ミカエルは武器を二丁拳銃に切り替え、必殺技”ラピッドファイア”でライデン博士に無数の弾丸を浴びせる!
しかし、俺たちの必殺技を駆使してもライデン博士はまだ動いている。なんてしぶとい奴だ。
「博士、これで最後だ!」
エーリッヒ大佐のお供ロボが電気玉を発射。電気玉はライデン博士に命中し、培養カプセル全体に電流が走った。
電流が走って数秒後、培養カプセルは爆発し、本体の脳みそは黒焦げになった。
「私の負けか……。見事だ、エーリッヒ大佐」
「ライデン博士……私は……」
化け物になったとはいえ、大切な友人を傷つけてしまった悲しみをあらわにするエーリッヒ大佐。
「君は素晴らしい。……大量生産するべきだ!」
その時、エーリッヒ大佐は真剣な表情でライデン博士へ銃口を向けた。
「あ、待ってくれ! エーリッヒ大佐! トドメを刺すな!」
「タツヤ君……?」
「こいつを見てみろ。見た目は化け物だが、まだ理性が残っているだろ? つまり、こいつは調教できるってことだぜ!」
「そうか! それもそうだな! じゃあ調教しようぜ!」
化け物だろうが、人間の意思が残っている奴は調教して更生させる。それが俺たちのやり方だ。
「おい、何をする!? やめろ……!」
俺とレイさんは瀕死のライデン博士にひたすら鞭打ち続ける。
「よーし! 調教完了!」
「ワン……ワン……」
調教されたライデン博士は無事更生することができたぜ。めでたしめでたし。
「うわぁ……何だこれは……たまげたなぁ……」
「お前ら、調教できれば何でも良いんだな……」
調教されたライデン博士を見てドン引きするエーリッヒ大佐とミカエル。
「ライデン博士、あなたの技術は我が軍が受け継ぎます」
「ワン……ワン……ここのデータは好きにしていってくれ」
エーリッヒ大佐はライデン博士の後ろを通り過ぎ、部屋の奥にあるコンピューターを操作する。
そして、ライデン博士の研究データ全てを記憶媒体に保存した。
「よし、これでデータの収集は完了だ。基地へ帰ろう」
任務を終えた俺たちは軍事基地へ帰還し、エーリッヒ大佐の部屋で少し休憩することにした。
エーリッヒ大佐は俺たちに高級紅茶を入れてくれた。ヨーロピアン風味でうまいぜ。
「みんなお疲れ様。おかげで貴重なデータを収集することができたよ。軍の技術を改良できそうだ」
「これで男だけで子供作れる世界を実現できるよなぁ?」
「しばらくの間はその技術を使えるのは軍の中だけさ。一般的に普及させるのはもっと後になるだろう」
やはりすぐに実現ってわけにはいかないのか。俺たちが生きている間に普及するといいな。
「お、そうなのか……。早く世界中に広まるといいな」
「そうすれば世界はホモの天国だな!」
「嫌な予感しかしないんだけど……」
「単体生殖、同性生殖は選択肢が増えただけに過ぎない。今まで通り男女で子供作りたい奴らはそうすればいい。何も問題無い」
「そうなの……?」
「とにかく君たちと一緒に仕事ができて楽しかったよ。今日はありがとう」
俺たちはエーリッヒ大佐から任務の報酬をもらった後、エーリッヒ大佐の部屋を後にした。