第40話 ライデン博士の正体!

 逃げ場の無い網目状のレーザーが俺たちを襲う。俺たちはこのまま細切れのサイコロステーキにされてしまうのか!?

「……あれ?」
「……何があった?」
「オレたち生きてるどー!」
「助かったの……?」

 網目状のレーザーは確かに俺たちの身体を通過したはずだ。これはどういうことだよ?

「ハッハッハ! このレーザーはただの光だよ。触れても何も起こらん」
「「「「ファッ!?」」」」

 この野郎、俺たちがビビっているのを見て楽しんでいただけだったのかよ!

「みんな、すまない。実は私もこのレーザーがただの光であることは知っていたんだ」
「「「「ファッ!?」」」」

 だからエーリッヒ大佐は網目状のレーザーを目の前にしても冷静だったのか。もっと早く言ってくれよ……。

「おかげで良いデータが取れたよ。さぁ、部屋に入ってきたまえ」

 俺たちはライデン博士に言われるがまま、通路を抜け、次の部屋へ入る。
 部屋は広々としたコンピュータールームだ。そして、俺たちを待ち受けていたのは……。

「よく来たね。エーリッヒ大佐。こうして直接顔を合わせるのは何年ぶりだろうか」
「……ライデン博士!?」

 何かを見て驚くエーリッヒ大佐。しかし、白衣を着たライデン博士の姿はどこにも見当たらない。

「博士、どこにいるんだよ?」
「隠れてないで出てこいやコラァ!」
「……目の前にいるだろう?」

 俺たちの視線の先には……多くのケーブルがつながっている巨大な培養カプセル、そしてカプセルの中には脳みそが入っている。
 まさか、ホログラムで映し出されていた白衣のおっさんは偽りで、ライデン博士の正体は脳みそだったのか!?

「うわっ! なんだこの化け物は!?」
「エーリッヒ大佐、こんな化け物と知り合いなのか?」
「違う……そんなはずは……。ライデン博士、あなたは人間としての誇りを捨ててしまったのですか!?」
「何を言っている。カプセルの中にある脳が私の全てだったとしても、私は意思を持った人間だ」

 こいつの基準では、体が化け物でも人間の意思が残っていれば人間なのか? これもう分かんねぇな。

「君たちの軍はライナスという男の襲撃を受けてダメージを負ったそうだな? これは私にとってビジネスの機会だ。彼のおかげで更に事業を拡大できる」
「……それはどういうことですか?」
「軍の兵士たちが戦いによって身体欠損や重い障害を負った時、私の技術で再生、もしくはサイボーグ化させて強化することも可能だ。更に大規模な戦争が起これば私の作ったロボット兵器が活躍する。素晴らしいと思わんか?」
「ライデン博士、あなたの技術は素晴らしい。だが、あなたの研究の為に無意味な戦争や犠牲者を増やすことはあってはならない!」

 確かにライデン博士の金儲けの為に戦争起こしたりするのは良くないよなぁ。
 だが、そんなことよりももっと大事なことをこの2人は忘れているぜ。

「あのさぁ、サイボーグとかロボット兵器とかはどうでもいいから、人工子宮の開発早くしてくんない?」
「おい、さっさと男だけで繁殖できる世界実現しろやコラァ!」
「えぇ!? まだそっちを気にしてるの!?」
「安心したまえ。言われなくとも男だけで繁殖可能な技術は既に完成している」
「マジ!? じゃけんさっさとその技術を世界中に広めて平和な世界にしましょうねぇ~」

 俺としては、男だけで繁殖できる技術さえ広めてくれれば十分だぜ。

「良いとも。だがその前に……」

 変わり果てた姿のライデン博士の周りに機械音が鳴り響く。
 そして、ライデン博士の前方にホログラムのシールドが2つ現れた!

「さあ見せてくれ! 君たちの性能を!」

 え? これって化け物と化したライデン博士と戦うってこと?

「やるしかないようだね。みんな、行くよ!」
「さっさと調教して男だけで繁殖する技術だけでも持ち帰ろうぜぇ~」
「男だけで繁殖する技術以外は危険ってはっきりわかんだね!」
「いや、だからそんなこと考えてる場合じゃないでしょ!」
「とにかく相手がやる気なら戦うしかないぞ」

 俺たち全員武器を構え、ライデン博士に立ち向かう!