
作品概要
孤独な傭兵マティアスと野性的な軍人ハンニバルがタッグを組んで戦う世紀末バトルアクション。
雰囲気はゆるめのSF×ミリタリー。暴力表現・残虐表現が多いです。
かといって堅苦しいわけでもなく、コミカルなシーンも多めです。
女性のヒロイン、恋愛要素、ハーレム要素は一切無し。
約14万文字で完結済み。
絵:漆原 白様
あらすじ
時は199X年。長きにわたる戦争は終結を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、暴力が支配する戦後の混沌。
かつての裕福な暮らしを失い、戦火の中で家族を失った男、マティアス・マッカーサーは傭兵として生きてきた。
そんな彼の前に現れたのは、圧倒的な戦闘能力と身体能力を誇る軍人、ハンニバル・クルーガー。
ハンニバルにスカウトされたマティアスは彼の所属する軍に入隊することを決意する。
彼らが戦場で目にするのは、かつての戦争よりもさらに陰惨な現実。
超人的な力を持つ兵士たち、戦闘用に肉体改造を施された生物たち、そして私利私欲のために戦争を利用する者。
戦いの中で、冷徹な傭兵だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
荒廃したアメリカを舞台に、2人の男が戦場を駆けるミリタリー・アクション。
今、兵士の矜持を賭けた戦いが始まる——!
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本編
第1話 荒野の傭兵 / 第1章 傭兵と軍人
199X年。世界各地で戦争が相次ぎ、ようやく終息に向かおうとしていた。 しかし、その代償として文明は荒廃し、法と秩序が失われた。荒野を支配するのは無法者たち、そして金で動く傭兵たちだ。 黒い戦闘服を身を包んだ、長身で筋肉質な男が荒野を歩…
第2話 軍人ハンニバルとの出会い
「お前は自分の利益の為だけに戦っていると言ったな。ならば俺たちと組む気は無いか? お前のような強い男が俺のチームに入ってくれりゃ鬼に金棒だぜ。もっとも、その気が無いならこの場でぶっ殺すのみだがな」 親玉がマティアスに近づき、自分のチームへの…
第3話 貴族の屋敷で一時の休息
屋敷の入り口まで近づくと、ハンニバルは勢いよく扉をノックした。 しばらくすると、建物の中から10代前半くらいの年齢の少年が出てきた。銀髪で中性的な顔立ちの美少年だ。 女の子に間違われてもおかしくないほど可愛らしい風貌をしている。豪邸に住む…
第4話 拉致された貴族の少年
夜が明け、朝がやってきた。高級ベッドで眠ることが出来て、2人にとってとても目覚めの良い朝だった。 マティアスとハンニバルは互いに挨拶を済ますと、洗顔と着替えを終えて部屋を出る。 廊下に出て階段を降りると、そこにはシュタイナー夫妻がいた。 …
第5話 兵隊崩れの最終兵器
エーリッヒは最上階の部屋に身柄を拘束され監禁されていた。「この子、なかなか可愛い顔してるなぁ~」「カシラ、念のため言っておくけどその子は男ですぜ」 兵隊崩れのボスと部下達がエーリッヒを物色していた。女の子のように可愛らしいエーリッヒの虜とり…
第6話 生還、そして軍事基地へ
あれから一体、どれくらい眠っていたのだろうか。 マティアスは目を覚ますと、屋敷の客室のベッドの上に寝かされていた。彼の上半身にはたくさんの包帯が巻かれている。 「やっと起きたか、おはよう」 声を掛けてきたのはハンニバルだった。「ハンニバル…
第7話 初めての任務 / 第2章 軍の任務
翌朝、マティアスとハンニバルは朝の支度を済ませた後、互いの部屋付近で合流した。 マティアスは昨日購入した装備をしっかり身に着けており、準備は万全だ。 2人は司令室に向かい、ウィリアム司令官と対面した。「おはよう、諸君。準備は万全のようだな…
第8話 ハンニバルの正体
街の入り口周辺の敵は始末したが、奥にはまだまだ大勢の敵がいるはずだ。 敵に気付かれて集中砲火を浴びると厄介なので、身を隠しながら少しずつ、マティアスとハンニバルは奥へ進む。 しばらく進んだところで目に映ったのは、数人の兵士たちの姿だ。 そ…
第9話 燃え盛る戦場
部下を全滅させられ、頼みの綱が無くなった放火魔ビリー。 しかし、彼の表情からは追い詰められたような様子は感じられず、屈強な軍人2人を目の前にしても余裕の表情を見せていた。「そろそろ俺も本気モードで行くぜ! 俺だって伊達に放火団の隊長やって…
第10話 第2の任務
最初の任務の翌日、マティアスとハンニバルは2人で基地周辺を散策していた。 日中は周辺の景色や買い物を楽しみ、夜はハンニバルの部屋で彼に手料理を振る舞ってもらい、楽しい1日を過ごしていた。 しかし、2人はただ遊んでいただけでは無い。マティア…
第11話 機械仕掛けの番人
マティアスは乗り物に乗り込んだ。操縦席にはハンドルとアクセルとブレーキ、そして複数のボタンが設置されている。 マティアスが試しに一つめのボタンを押してみると、乗り物は急発進し壁を突き破った。 このボタンはダッシュボタンだったようだ。戦車と…
第12話 垣間見た鮮血の夢
マティアスは気が付くと見知らぬ建物の中にいた。さっきまでハンニバルと一緒に行動していたことを思い出すが、今はなぜかハンニバルの姿が見当たらない。 マティアスが通路を進んでいくと、そこには白衣を着た研究員たちの無残な死体があちこちに転がって…
第13話 補給基地襲撃
次の部屋に入ると、そこには大量の弾薬が詰まれた武器庫があった。 奥にはサイボーグ兵10数人と、赤いスーツで身を包んだピエロメイクの男が立っている。 ピエロ男は口の両端が裂けた様な笑みの白塗りの顔をしており、腰の両サイドのホルスターには銃剣…
第14話 巨大生物兵器との戦い
「フッフッフ……貴様らの相手をするのはこいつじゃ。わしはこんなところで死ぬわけには行かん」 老人がリモコンを手に持ちボタンを押すと、天井から穴が開き、巨大なゴリラのような生物が落ちてきた。 体高4メートルを超える巨体で、両手首には機械の腕輪…
第15話 2人へのビデオレター
マティアスとハンニバルは軍事基地に到着すると、コックを連れて司令室へ向かった。「只今、任務から帰って来たぜ。戦場の敵を一掃、そして敵の補給基地を見つけて破壊してきたぜ。……それと、こいつは敵の補給基地から引っこ抜いてきたコックなんだが、こ…
第16話 第3の任務
司令室でビデオレターを見てから数日後、司令室からの連絡が来た。 ついに敵と決着を付ける時が来たのだろうか。2人は準備万全の状態で司令室に入った。「よく来てくれた、諸君。軍の偵察隊の働きによって、オズワルドとウェアウルフ隊の居場所が判明した…
第17話 爆撃のアイアンフェイス
「マティアス、さっきの奴は滝壺に放り投げておいたぜ。今回もお前の戦略に助けられたな!」「いや、お前があのガスマスク男の足止めをしてくれたおかげで成し得たことだ。こちらこそ礼を言うよ」 敵の1部隊を撃破したところで2人は笑顔で握手を交わす。 …
第18話 ジャングルの激戦
ジェフはマティアスに接近すると、一旦バズーカを背中に背負い、素手で殴りかかって来た。ジェフの怒涛の連続パンチがマティアスを襲う。 マティアスは負傷した身体に鞭打ちながら、敵の攻撃の回避と受け流しに専念した。「守ってばかりじゃ俺に勝てんぞ。…
第19話 狂った科学者の最期
外は日が暮れ、朝からずっと戦闘続きだったマティアスとハンニバルは疲れ果てていた。 一旦引き返して軍事基地に戻ることも考えたが、先ほど倒したジェフの部隊のテントがたまたま近くにあったので、今晩はそこで休むことにした。 テントの中に入り、ラン…
第20話 戦場のウェアウルフ
遠くからやってきた敵の集団がマティアスとハンニバルに向けて銃弾を数発発射してきた。何発か2人に命中したが、この程度ならかすり傷だ。「奴らは私達を生かして返すつもりは無いようだな。気を引き締めて行くぞ」「俺が今までに遭遇したことも無いヤバい…
第21話 荒ぶる狼男
「おー、怖ぇな。でけぇ図体のくせにロボばっか作ってやがるから見かけ倒しかと思ってたが、なかなか強そうじゃねぇか」 豹変して荒々しい表情になったウルリッヒを見てハンニバルは一瞬動揺するが、同時に血が騒いでいた。 ハンニバルは昨日の殴り合いでジ…
第22話 シルバーバレット
ウルリッヒが呼び出したロボ達は広範囲に散らばり、カウントダウンを始めた。2人の周辺と足元には今にも自爆しそうな小型ロボが多数設置されている。 ロボ達に指示を出したウルリッヒはカモフラージュの技を使用して身を隠した。背景と同化し姿を消す技も…
第23話 デッド・オア・アライブ / 第3章 研究所の陰謀
ここは軍と協力関係にある生物兵器研究所。ハンニバルはこの研究所で人間兵器として生み出された。 ハンニバルは自分を生み出した研究所を快く思っていないが、今はどうしてもマティアスの命を助けたい一心で研究所に駆け込んだ。 例えマティアスが改造手…
第24話 マティアスの力試し
研究所の外に出た後、マティアスには試したいことがあった。改造人間となった自分がどれだけ強くなったかということだ。 マティアスは改造手術後にまだ一度も戦っていないが、今までとは比べ物にならないほどの力が身についていることは実感していた。「ハ…
第25話 暴徒と化した市民達
マティアスが改造人間となって1週間後、2人の元に司令室からの連絡が来た。新たな任務の連絡だろうか。 マティアスはこの1週間で改造人間としての力に慣れてきた。マティアスとハンニバルは司令室へ向かう。「諸君、よく来てくれた! 実は大変なことが…
第26話 潜入!ハンバーガー工場
「でかしたぞ! 第2ステージクリアおめでとう! やっとハンバーガー工場に到着したな!」 小型カメラの向こうのオスカーが喜びの声を上げていた。行く道を塞いでいた邪魔な市民達を車ではね飛ばして、ようやく目的地へ到着したのだ。「工場内はテロリスト…
第27話 バーガー・ロシアンルーレット
マティアスとハンニバルが武器を構えると、ムフタール兄弟は2人を恐れることもなく、武器を興味津々に見つめていた。「凄い武器を持ってんだな! お前ら改造人間だろ? 実は俺達兄弟も同じ改造人間なんだぜ!」 ムフタール兄弟もアサルトライフルを構え…
第28話 早食い競争
マティアスとハサンが別の部屋に入った同時刻、ハンニバルもファルクに連れられて個室に入った。 そこには2人分のテーブルと席があり、テーブルの上にはフォークと皿が、そして皿の上には人間の頭よりも大きいビッグサイズのハンバーガーがそれぞれ1つず…
第29話 最高傑作の人間兵器
あれから数日後、生物兵器研究所で研究員達の間で会議が行われていた。最高傑作の人間兵器であるハンニバルと、致命傷の状態から復活を果たし改造人間となったマティアスの話題でだ。「オスカー博士、新たなる最高傑作の人間兵器が生まれたというのは本当か…
第30話 惨劇の始まり
研究室にはオスカーとハンニバルだけが残っていた。「ハンニバル、お前はマティアスとの勝負に負けた。そのことについてどう思う?」「確かに俺は負けたが、おかげで俺は更に自分を鍛えようって気になれたぜ」 ハンニバルの答えは意外と前向きだ。しかし、…
第31話 最後の希望
これはマティアスが研究所に駆け付ける前の出来事―― 改造手術を終えて目を覚ましたハンニバルは、自分の肉体がより強くなっていることを実感していた。それと同時に、無意識に殺戮衝動に駆られていた。 ハンニバルは手術室から出て、オスカーの研究室に…
第32話 決戦のワイルド・ソルジャー 前編
マティアスが研究所の外に出ると、広々とした場所でハンニバルが待ち受けていた。「ハンニバル、決着を付けに来たぞ」「やっと来たか、マティアス。あまりにも来るのが遅ぇから、俺にビビって建物の中に籠ってるんじゃないかと思ってたところだぜ」「待たせ…
第33話 決戦のワイルド・ソルジャー 後編
ハンニバルの砲撃によって周辺の広範囲が燃え盛る戦場と化した。辺りは凄まじい熱気が漂っており、通常の人間では数分耐えるのが限度だろう。 ハンニバルは自信に満ちた表情で、マティアスに向けて炎のレーザーを放った。マティアスも対抗して氷のレーザー…
第34話 共同生活の始まり / 第4章 取り戻した平穏
マティアスはハンニバルを連れて軍事基地に帰った後、一旦ハンニバルを彼の部屋に移動させてから司令室へ向かった。 正気に戻って間もないハンニバルは精神的に不安定で、休息が必要だ。 マティアスは1人でウィリアム司令官と対面し、任務の報告をする。…
第35話 少年たちとの再会
マティアスは夢を見ていた。大型の長毛種の猫メインクーンを自分の膝の上に乗せて撫でている夢だ。「やっぱり猫は癒されるな。軍事基地で猫を飼えたらどんなに幸せなことか」 軍事基地ではペットを飼うことが出来ない。だからこそ猫と触れ合えるこの瞬間が…
第36話 夢のテーマパーク
4人はついにマッキーワールドに到着した。一同は4人分の入場チケットを購入し、園内に入る。 マッキーワールドは子供も大人も楽しめる大人気のテーマパークだけあって、来場客は非常に多い。「なぁ、これどうすれば良いんだ? 俺、遊園地なんて一度も来…
第37話 高速回転ティーカップ
今度はナイトの要望で4人は"マッキー&マニースタジオ"へ向かった。マッキーワールドを代表するネズミのキャラクター"マッキー"と"マニー"と一緒に写真撮影出来るコーナーだ。 マッキー&マニースタジオの中に入ると、行列の奥に複数の扉がある。扉…
第38話 お姫様のお茶会
一同はポーの案内で園内の休憩所に入った。部屋の中は机と椅子、そして机の上にはティーポットとマグカップが置いてある。 ポーはマグカップに紅茶を注ぎ、それを4人に渡してくれた。「ありがとう。紅茶まで頂けるなんて助かるよ」 マティアスがポーに礼…
第39話 恐怖の脱出ゲーム
貴婦人が部屋を後にして5分が経過、エーリッヒは待ちくたびれていた。「あのおばさん、帰ってくるの遅いなぁ……。もう次の部屋に進もう」 エーリッヒは待ちきれずに次の部屋への扉を開けた。扉の向こうは廊下となっており、通路が2方向に分かれている。…
第40話 正義の白騎士
「おや、ヒーロー気取りの騎士様の登場ですか? あいにくわたくしは男に興味無いのよ。さっさとここから出ていって下さる?」「あぁ、言われなくとも貴様を倒してからな」 仮面をつけた正体不明の男は貴婦人に向けて剣を向ける。「……そうですか。ならわた…
第41話 男達の物語は永遠に
テーマパーク・マッキーワールドでの出来事から1か月が経過した。 肉体改造と薬物投与の影響で精神的に不安定だったハンニバルも、マティアスやアーサー大尉とその家族の支えにより、軍の人間達とまともに交流出来る程度には落ち着いてきた。 しかし、敵…