
休暇を終えた俺たちは、念願の軍人ホモビデオ撮影に向けて司令室へ向かった。
「マティアス司令官、そろそろ軍人ホモビデオ撮影手伝ってくれるよな?」
「あぁ、最後の試験を乗り越えられればな」
「最後の試験?」
「ハイド伍長、ナイト軍曹、エーリッヒ大佐、そして私との戦いだ。私たち全員に勝つことができたら約束通りビデオ撮影を手伝ってやろう」
「ファッ!? マティアス司令官に勝てるわけないだろ!」
「落ち着け。私は生身の人間相手に本気を出さん。諸君との戦いを見て合否を決めることになる」
「なら良かったぜー……」
マティアス司令官から次の説明を受けた。
ハイド伍長、ナイト軍曹、エーリッヒ大佐と1人ずつ戦い、最後にマティアス司令官と戦うことになる。誰と先に戦うかは自由に指名できるようだ。
軍人さん1人との勝負を終えた後、翌日に別の軍人さんを指名して勝負を挑むことになる。
ここで軍人さんたちの戦闘スタイルをおさらいしよう。
ハイド伍長は小回りの利く小型バズーカと軍用ナイフによる素早い攻撃、広範囲に及ぶ状態異常攻撃を繰り出してくる忍者だ。
戦闘スタイルはミカエルに似ているが、奴は俺たちよりも戦い慣れしている軍人だ。奴の素早い動きについてこれなければ勝ち目はないだろう。
ハイド伍長はフードを被っているから俺の”髪なんか必要ねぇんだよ!”でハゲさせることができない。
ホモの町で俺とレイさんがハイド伍長の圧倒的強さに歯が立たなかった日は忘れていないぜ。
だが今の俺たちはあの頃とは違う。数々の戦いを経て強くなった。今度こそリベンジを果たしてやるぜ。
ナイト軍曹の戦闘を生で見たことがあるのはミカエルとヨウスケだけだ。
2人の話によると、ナイト軍曹は攻防一体のハイテクで変形可能なバズーカ、近接攻撃用の剣、生半可な攻撃ではダメージが通らないフルアーマーを持つ。
そして重装備故に動きは遅い。典型的な硬くて強くて遅い重戦士だ。遠距離攻撃、近接攻撃を完備していて隙が無い。
こいつはフルアーマーだから俺の”髪なんか必要ねぇんだよ!”でハゲさせることができない。レイさんの”おじさんブロー”によるめまいも効かないかもな。
エーリッヒ大佐はお供ロボを使って広範囲の電撃を放ったり、シールドや回復技を使う、ファンタジー世界でいう魔法使いタイプだ。
電撃の威力は高いが、発動までに時間がかかるという弱点がある。
近接戦闘は苦手っぽいから、みんなで掛かればいけそうだ。
エーリッヒ大佐はライデン博士との戦いの時みたいにハゲさせてやりたいぜ。俺の”髪なんか必要ねぇんだよ!”でな。
そしてマティアス司令官。初対面の時は奴の近接攻撃だけで全滅させられたぜ。
手加減はしてくれるとのことだが、まさかとんでもなくヤバい兵器とか使ってこねーよな……?
ハイド伍長、ナイト軍曹、エーリッヒ大佐の中ではナイト軍曹が一番強いと見た。ナイト軍曹は最後に戦った方がいいかもな。
俺たち4人で相談した結果、最初はハイド伍長と戦うことに決めた。奴の素早くテクニカルな戦い方に慣れておけば、この先の戦いも楽になりそうだからな。
戦いの準備ができた俺たちはマティアス司令官の案内で軍事基地の屋上へやってきた。
屋上庭園があり、この場所は兵士たちの憩いの場にもなっているそうだ。
屋上の入り口から奥へ進むと、広々としたヘリポートがあった。模擬戦闘をやるには十分の広さだ。
屋上にはハイド伍長、ナイト軍曹、エーリッヒ大佐、そしてライナスの姿があった。
「おい、ライナスとも戦うのかよォ!?」
「いや、俺は観戦するだけだ。お前らの戦いを見届けにやってきたぜ」
「よ、よかったー……」
ライナスが最後の試験の相手に入ってなくて良かったぜ……。
奴はナイト軍曹のガード技無しで突破するのはほぼ不可能、つまり俺たちのメンバーでは勝ち目が無いとミカエルから聞いたからな。
「さぁ、最初に戦う相手を指名するのだ」
マティアス司令官が俺たちに対戦相手の指名を促す。
「ハイド伍長を指名するぜ! ホモの町の公園で返り討ちにされた借りはたっぷり返してやるからなぁ~?」
「オレたちはあれからめっちゃ強くなったんだ。今度は負けないどー!」
「ハイド伍長、同じ暗殺者として、あんたとの共同任務はとても勉強になったよ。私たちの戦いを見届けてくれ」
「おれだってみんなとの任務を通して強くなったんだぞー!」
「……そうだね。君たち、特にタツヤとレイはあの町の公園で出会った頃とはまるで別人だと感じているよ。ミカエルとヨウスケも任務の時は仲間との連携が上手かったね」
俺たちの言葉を受け取ったハイド伍長は笑顔で返事をする。
ハイド伍長は任務中の時も俺たちの戦いっぷりをよく観察してくれていたんだな。
「俺も本気で君たちと戦いたくなってきたぜ! 勝負だ!」
ハイド伍長はキリッとした表情に変わり、小型バズーカと軍用ナイフを構えた。
俺は鞭を、レイさんは竹刀を、ミカエルは二丁拳銃を、ヨウスケは棒を構える。そしてハイド伍長との戦いが幕を開けた!