――この回は性的表現が含まれます。描写は極力控えめにしていますが、見たくない方は次のページへ進んで下さい。――

ここは軍事基地付近にあるガソリンスタンド。ナイト軍曹は自身の愛車である黒塗りの高級車にガソリンを補充する為ここへ来た。
ガソリンの補充を終え、料金の支払いをしようとするナイト軍曹。しかし……。
(やべっ! 財布忘れちゃったよ!)
ナイト軍曹は財布を忘れてしまったのだ。フルアーマーの彼は素顔が見えないが、兜の下は焦りでいっぱいの表情をしている。
「すまない、財布を忘れてしまった。すぐ取りに来るから待っててくれないか?」
「そういうわけにいかねーよ。まさか軍人さんがガソリン代踏み倒そうとしているなんて、軍に知れ渡ったら騎士様の立場は危ういだろうなぁ~?」
ねっとりした嫌味ったらしい口調と表情でナイト軍曹の弱みを握る、ガソリンスタンドのオーナー。
オーナーはナイト軍曹がなかなか昇進できないでいることを知っているのだ。
「そ、それだけは勘弁してくれ! 俺にできる対価ならなんでもしよう!」
「……ん? じゃあちょっとだけ付き合ってもらおうか」
オーナーはそう言うと一旦その場を離れ、飲み物が入ったコップを持ってきた。
「うちの自家製アイスティーだ。こいつを飲んで感想を聞かせてくれ」
「なんだよ、これ……」
「いいからさっさと飲めよ。ガソリン代チャラにして欲しいんだろ?」
「……わかった。飲む」
ナイト軍曹はオーナーの意図に疑問を持ちながらもアイスティーを飲み干す。すると、彼の意識は瞬く間もなく遠のいていった……。
アイスティーの中には即効性の睡眠薬が仕込まれていたのだ。
ナイト軍曹が目を覚ますと、彼はどこかの密室の中にいた。鎧や衣類は下着以外全て脱がされ、部屋の天井からぶら下がっているロープで両腕を縛られている。
フルアーマーを脱いだナイト軍曹の姿は、身長190cm程度の筋肉質でヒゲを生やしたワイルドな茶髪の男だ。
「……うぅ、ここはいったい? ……ってなんだこれは!?」
ナイト軍曹が慌てふためいていると、彼の目の前にオーナーが現れる。
「やっとお目覚めか。騎士様。クッソ重い鎧を脱がせるのに苦労したんだぞ」
「貴様、どういうつもりだ!」
「なんでもするって言ったよな? だからオレとちょっと遊んでもらうぜ」
「こんな体勢で遊ぶ……だと? ふざけるな!」
「ガソリン代チャラにして欲しいんだろ? なら大人しくしろよ」
オーナーはナイト軍曹の身体を触り始める。
「お、騎士様は立派な物をぶら下げてるねぇ~」
「やめろおぉぉぉぉ!」
「お、体が熱くなってんじゃん。本当は嬉しいんだろ? 誘ってんだろォ?」
「そんなわけあるわけないだろ! これは体が勝手に……!」
オーナーはしばらくナイト軍曹を触り続けた後、ナイト軍曹の下着を脱がせた。
「やめろぉー! 見るなー!」
「その様子だと初めてって感じだな。オレが騎士様の乳首を鍛えてやるよ」
オーナーはナイト軍曹の乳首をさわり始める。
「あっ……やめっ……」
(くそっ! 感じたくねぇのに体が言うこときかねぇ……!)
「乳首も剣もピクピクして、いやらしい騎士様だなぁ~」
「だから違うと言ってるだろ!」
「その割には剣が熱くなってんぜ? んじゃ、次は騎士様の○○を堪能させてもらおう」
「勘弁してくれ! 俺はそっち側の経験は無ぇってばよ!」
オーナーはナイト軍曹の背後に回り、そして……。
「ああああああ!! やめろおぉぉぉ!!」
「お、さっすが初々しい○○!」
「俺は貴様なんかと……愛し合うつもりなどない!」
「おいおい、騎士様は乙女かよォ? 愛が無くても〇〇〇〇はできるんだぜ~」
「誰が貴様なんかと……やめろおぉぉぉ!!」
「そろそろいくぜ、騎士様。うおらあぁぁぁ!!」
ナイト軍曹にオーナーのアレが無慈悲に注ぎ込まれた。それと同時にナイト軍曹も自分の意思に反してそのまま絶頂。
「なんだかんだいって気持ちよかったみてーだな、騎士様?」
「うぅ……ちくしょう……」
(こんなことをマティアス司令官に知られてしまったら……!)
ナイト軍曹が深い悲しみに包まれているその時、部屋の扉が何者かによって強く蹴飛ばされた。
大きな衝撃音と共に吹っ飛んだ扉はオーナーに直撃。
「ぐえっ!」
オーナーは扉がぶつかると同時に転倒。
「ナイト、大丈夫か!? ガソリン補充すると言ってなかなか帰ってこねーから心配したんだぞ!」
ナイト軍曹を助けに来たのはハンニバル中将だ。
「ハンニバル中将、申し訳ございません……。俺が財布を忘れてしまったばっかりに……」
「お前が無事なら構わん。これを着な」
「ありがとうございます……」
ハンニバル中将はナイト軍曹の両腕を縛っていたロープを軽々と引きちぎると、片手でナイト軍曹の鎧と衣類を持ち上げ、持ち主の元へ渡す。
ナイト軍曹は服と鎧を着用し、元のフルアーマーの姿へ戻った。
ハンニバル中将は恐ろしい表情でオーナーに近づくと、オーナーは「ひいいいいっ!」と怯えながら後退りし、壁に背をくっつける。
「俺の部下がずいぶんと世話になったようだな? 1年間、軍へのガソリン無償提供で今回の件は許してやる」
「ひえぇぇ……わかりました!」
「よし、取引成立だな」
ナイト軍曹の思わぬアクシデントのおかげで、軍は1年分のガソリンを手に入れたのだ。
そしてナイト軍曹とハンニバル中将が外へ出た時、ハンニバル中将が興味津々な表情でナイト軍曹に話しかける。
「ナイト、あの部屋であいつに何されてたんだ? あの白い液体はマッサージオイルか?」
「そ、それは知らない方がいいですよ! あと、今回の件は誰にも言わないでくださいね!」
「あぁ、分かった」
ハンニバル中将が性を知らないピュアな心の持ち主であることにホッとしたナイト軍曹。
2人は黒塗りの高級車に乗って軍事基地へ無事帰還したのであった。