第49話 ナイト軍曹、調教を覚える!

 今回はナイト軍曹、ミカエル、ヨウスケのパーティ視点で進んでいくぜ。

「無法者なんか軽く一掃してやるぜ!」

 ナイト軍曹はエーリッヒ大佐のパーティとは違い、多くの無法者どもを目の前にしても自信満々の様子だ。
 白銀のフルアーマーを身にまとうナイト軍曹は、この広々とした荒野では目立ちまくりである。

「ヒャッハー! 獲物を見つけたぜー!」
「あいつ、あんな派手な鎧着たまま俺らのシマに来るとはバカじゃねーの!」

 無法者どもがナイト軍曹たちにかかってきた!

「奴らはなかなか素早いぞ。私が足止めする!」

 ミカエルは敵の視界を一時的に奪う毒を塗った刃を無法者どもへ投げつけた。

「小賢しい真似しやがって……!」

 無法者どもはダメージと共に視界を奪われて怯む。しかし、視界を奪われてもなお攻撃体勢を崩さない敵がいた。二刀の剣を持つ、フードを被った暗殺者アサシン風の男だ。

「無駄だ。俺は暗闇での戦いは慣れている。一時的に目潰しをしたところで逃げられると思うな!」

 フードの男は手持ちの武器を即座に手投げナイフへ切り替え、ナイフをミカエルたちへ向けて素早く投げつけた。

「くっ!」
「痛いよ~!」
「お前たち、大丈夫か!?」

 ナイト軍曹はほぼ無傷で済んだが、ミカエルとヨウスケはダメージと共に毒を浴びてしまった。

「ヤバい、早く治さないと……」
「……いや、それよりも先に敵を殲滅だ」

 ミカエルが反撃に出ようとするが、フードの男に続いて二刀の剣を持つマスク男も暗闇を恐れずに襲い掛かってきた。

「オラァ! 死ねやてめーらァ!」

 マスク男の二刀の剣による連撃は、ナイト軍曹そっちのけでミカエルとヨウスケを執拗に狙っていた。
 硬いナイト軍曹よりも先に、打たれ弱いミカエルとヨウスケを先に倒すべきと考えたのだろう。
 他の無法者どもも続いてミカエルとヨウスケに襲い掛かる。
 ミカエルは二刀のナイフ、ヨウスケは棒で応戦するが、敵の数が多く押されている状態だ。

「ヤバいことになってきたな……」
「ナイト軍曹、助けてぇぇぇぇ!」
(なんてことだ! 俺が調子乗って多くの敵を引き寄せてしまったばかりに……!)

 無法者どもに傷つけられていくミカエルとヨウスケを見て焦るナイト軍曹。
 ナイト軍曹は強力な技を放つためにパワーチャージしていたところだった。しかし、早く攻撃開始しなければミカエルとヨウスケがやられてしまう。

「この無法者ども、可愛い新入りたちに手を出すなぁー!」

 ナイト軍曹はパワーチャージを中断し、手持ちのバズーカから広範囲の炎を発射。

「「「ぎゃー!!」」」
「「「あっついぜ~! あつくて死ぬぜ~!」」」

 無法者どもは炎に包まれる。しかし、まだ倒れていない。

「ふざけやがって! ぶっ殺してやらぁ!」

 無法者どもは炎に包まれながらもミカエルとヨウスケに襲い掛かる。

「こいつらには触れさせん!」

 ナイト軍曹がバズーカを盾にし、無法者どもの攻撃からミカエルとヨウスケを守った。無法者どもは攻撃を弾かれて怯み、一歩後退する。

「ありがとう! ナイト軍曹」
「よし、今のうちに仕留めるぞ」

 ミカエルとヨウスケは、調教師直伝の調教術で無法者どもを調教開始。

「ワン……ワン……」

 無法者どもは改心し、四つん這いヨツンヴァインの犬奴隷になったとさ。めでたしめでたし。

「なんだこれは、たまげたなぁ……」

 調教された無法者どもの姿を見て呆然とするナイト軍曹。

「そういや、ナイト軍曹はタツヤたちの調教を知らないのだったな」
「どんな悪人も殺さずに調教して改心させろって、タツヤさんとレイさんが教えてくれたんだ」
「お、おう……。確かに殺さずに平和に解決できるなら、そうした方が良いな」

 一先ず戦闘を終えたミカエルたちはヨウスケの技で回復後、引き続き荒野の奥へ進んでいく。
 ナイト軍曹は最初の戦いで仲間を守ることの重要さを学び、攻撃よりも守りを優先して堅実に戦うことにした。
 無法者どもを蹴散らしながら広い荒野を歩き続け、ついに奥地へたどり着いた。そこには見覚えのある男の姿があった。
 長くて美しい金髪を持つウエスタンガンマン風の男、そして今回の任務のターゲットであるライナスだ。

「ライナス、ついに見つけたぞ」
「ナイト軍曹がお出ましだぞー!」
「ライナス、いよいよ年貢の納め時だな」

 ミカエルとヨウスケはナイト軍曹の盾があるおかげか、やけに強気だ。

「また会ったな、鎧男。あの時はてめぇの不意打ちを受けて力を出せなかったが、今度こそぶちのめしてやるぜ!」
「ふん、何度やっても同じだ。これからたっぷりとを見せてやるから覚悟しておけよ?」
「それはこっちの台詞だ! てめぇも、そこのガキ共もまとめてぶっ殺してやるぜ!」

 ライナスは獲物を見る表情で、ミカエルとヨウスケに視線と銃口を向ける。

「そ、それは勘弁してぇぇぇぇ!!」
「ヨウスケ、さっきの威勢はどこにいったんだよ……」

 ミカエルはそう言いつつも、実はヨウスケ同様怯えていた。その時、ナイト軍曹が明るい口調で声を掛ける。

「お前たちは数々の任務をこなして強くなったんだ。もう怯える必要は無いだろう? もしもの時は俺が盾になってやるからさ」
「それもそうだな。今度こそ、あの時やられた借りを返してやろう」
「ナイト軍曹、ありがとう。精一杯サポートするよ!」
(本当は怖いけど、ナイト軍曹が守ってくれるなら大丈夫だよね……?)

 先ほどまで怯えていたミカエルとヨウスケは気を取り直して戦闘態勢に入る。

「ハッハッハッ! 鎧男よ、そんな弱っちいガキ共を守りながら戦う気か? ずいぶん舐められたものだな!」
「こっちこそ舐められたものだぜ。お前も仲間を呼んで良いんだぞ?」
「そんなものはいらねぇ! 俺はてめぇにリベンジする為に新兵器を開発したんだ。今度こそ地獄へ送ってやるぜ!」

 かつて廃坑でナイト軍曹がライナスを難なく撃退できたのは、ナイト軍曹の初出の不意打ちがライナスにヒットしたからだ。
 しかし、今回は万全の状態かつ新兵器を装備したライナスと戦わなければならない。廃坑で戦った時よりも強敵なのは間違いない。
 ミカエル、ヨウスケ、ナイト軍曹は今度こそライナスと決着をつけるべく、戦闘を開始する!