第37話 頂上を守る番人を調教する!

 俺たちがサイバータワーの頂上にたどり着くには、目の前の道を塞いでいるジャイアントマシンを倒さなければならない。
 ジャイアントマシンはキュイイイイン! と、音を立てながら右手のドリルを回転させてきたかと思いきや、左手の銃火器から火炎放射を放ってきた!

「ギイイイイイイン! (汚物は消毒だー!)」

 今までの小型ロボが放ってきた火炎放射とは比べ物にならない威力だ。

「みんなを守れ。マジックシールド!」

 エーリッヒ大佐がお供ロボに指示を出すと、お供ロボがホログラムのバリアを展開した。
 バリアは火炎放射の威力を大幅に軽減。完全封殺とまではいかないアツゥイ状態だが、大ダメージは逃れたぜ。
 しかし、このままでは敵に近づくとバリアからはみ出て炎の餌食になってしまう。近接攻撃は使えないな。

 「ロボットは毒が効かないから厄介だ。ならば全力で撃ち抜くのみ!」

 ミカエルは二丁拳銃による銃撃をジャイアントマシンへ向けて連射。
 しかし、ジャイアントマシンの火炎放射の前では銃弾が全て弾き返されてしまった!

「くっ! これでは一方的にやられっぱなしだ」
「銃が駄目なら水で行くぜぇ~」
「ハリケーン!」

 俺は特製高圧洗浄機による”熱湯シャワー”で、レイさんは竹刀を強く振るい竜巻を発生させる”ハリケーン”で敵の火炎放射に対抗する。
 すると、火炎放射の威力がだいぶ弱まってきたぜ。これで俺たちの攻撃が通りそうだ。
 ……と思ったら、ジャイアントマシンは火炎放射を中断。右手のドリルを回転させながら俺たちへ向けて滑るように突進してきた! こいつ、足にジェットがついてるぜ!
 しかもエーリッヒ大佐のバリアを貫通してやがる!

「みんな、逃げるんだ!」

 エーリッヒ大佐が俺たちに逃げるように指示を出す。
 俺たち全員は横に回避しようとするが、ジャイアントマシンのドリルの外側にぶつかって吹っ飛ばされてしまう。
 ドリルの直撃は回避できたが、俺たちは勢いよく壁に激突してしまった。オイ!? いってぇ! オイ!
 そしてジャイアントマシンのドリルが壁に激突と同時に壁は亀裂が入り、辺りは大きく揺れた。

「いってぇ! バリアを貫通するってどういうことだよ!?」
「すまない。マジックシールドで軽減できるのは炎や雷といった特殊攻撃だけで、物理攻撃の前では無力なんだ」
「ファッ!?」

 さすがに何でも防げるバリアなんて存在しないのか……。
 ドリルの振動が収まる前に、俺たちは素早く立ち上がった。
 ジャイアントマシンの突進は一旦止まったようだが、依然として俺たちを追い詰めるつもりで構えている。くそっ、このままじゃジリ貧だ。

「みんな、私が必殺技を発動させるまでの間、時間稼ぎをしてくれないか?」

 エーリッヒ大佐からの提案だ。エーリッヒ大佐なら機械系の敵の弱点を突ける。発動に時間が掛かる分、きっと凄まじい強さを持つ技に違いない。

「あぁ、分かったぜ」
「みんな、しばらく回避に専念するぞ」
「心得た!」
「わかった。みんな、気をつけて!」

 ヨウスケが活力スプレーで俺たち全員の体力を強化。ここは守りと回避に徹するぜ。
 俺たちが守りと回避の体勢を取っていると、ジャイアントマシンは再び火炎放射を放ってきた!
 エーリッヒ大佐のお供ロボは詠唱中だからマジックシールドを発動することができない。
 ……ということは、あの高火力火炎放射が俺たちに直撃ってことかよ!?

「タツヤ君とレイ君は先ほどと同じように”熱湯シャワー”と”ハリケーン”で敵の攻撃を軽減してくれ。ミカエル君は攻撃を、ヨウスケ君はみんなの回復を頼む」
「お、おう。もうこうなったらヤケクソだ! 洗い流してやるぜ~!」
「いっくよ~! ハリケーン!」
「できるだけダメージを稼ぐぞ」
「みんな、倒れないでね!」

 エーリッヒ大佐の指示で俺たちはそれぞれ自分たちに与えられた役割をこなしていく。
 俺とレイさんは”熱湯シャワー”と”ハリケーン”で火炎放射の威力を軽減。
 しかし、さっきと違ってエーリッヒ大佐のマジックシールドが無い分、めちゃくちゃアツゥイ!
 俺たちの体力が削られている中、ミカエルは二丁拳銃による銃撃でジャイアントマシンに少しずつダメージを与え、ヨウスケは回復スプレーで俺たち全員の体力を回復していく。
 このまま耐え続ければ、このドリルロボ野郎にエーリッヒ大佐の必殺技をお見舞いできる!
 そう思ったその時、ジャイアントマシンは火炎放射とドリルを同時に稼働させた状態で、俺たち目掛けて突進してきた!

「ちょっ……火炎放射とドリル同時攻撃とか卑怯だろオイ!?」
「ヤバい、このままじゃ潰される!」
「みんな、避けろ!」
「うわああああ! もう駄目だああああ!」

 俺たちは急いで避けようとするが、ジャイアントマシンは俺たちに接近と同時にドリルを地面に叩きつけた。
 地面は亀裂ができると同時に激しく揺れ、更にその衝撃と炎の爆発が重なり、俺たちは大きく吹っ飛ばされて大ダメージを受けた。

「「「「アッー!」」」」

 痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)

「くそぉ……立ち上がれねぇ」
「みんな、待たせたね。さあ、いこうか」

 エーリッヒ大佐はようやく必殺技の準備が整ったようだ。待ってたぜ……。
 エーリッヒ大佐のお供ロボが閃光を発生させると同時に、巨大な稲妻がジャイアントマシンを取り囲んだ!

「ギイイイイイイン!」

 ジャイアントマシンはショートを起こし、かなりダメージを受けたようだ。
 しかし、奴はまだ倒れていない。なんてしぶとい奴なんだ。
 
「倒れている暇は無いよ! あとはおれたちでトドメを刺そう」

 ヨウスケの必殺技”超回復術”によって俺たち全員が回復して体勢を立て直す。よ~し、反撃タイムだ!

「調教できないロボのくせに調子こきやがってよ! じゃあオラオラ来いよオラァ!!」

 レイさんは必殺技”おじさんブロー”で怒涛の連続攻撃をジャイアントマシンへぶつける!
 ジャイアントマシンは地面に膝をついてダウン。その隙に俺がジャイアントマシンの背中に乗る。

「オラァ! ハゲをハゲさせても意味ねーけど、お前にはハゲてもらうぜぇ?」

 俺は”髪なんか必要ねぇんだよ!”でジャイアントマシンの頭部を怒りを込めて斬りつける!

「トドメだ!」

 ミカエルは必殺技”ラピッドファイア”でジャイアントマシンの胴体に無数の弾丸を浴びせる!

「ピイイイイイイ……」

 俺たちの怒涛の攻撃を受けたジャイアントマシンはついにうつ伏せになって倒れ、機能停止。死んだのだ。

「ふぅ~、めちゃくちゃ危なかったぜ」
「これでまだ中ボスってのが信じられねーな」
「この先、こいつより強いボスが出てこなければ良いのだが……」
「ねぇ、みんな少し休もうよ……」

 エーリッヒ大佐はまだピンピンしているが、俺たちは疲れているから休憩させてもらうことにしたぜ。

「安心して。幸いにもサイバータワーにジャイアントマシンより強いロボットがいるという情報は無い。後は地道に頂上を目指して行けば、博士は私たちの実力を認めてくれるはずさ」
「良かったー……」
「で、その博士ってどんな奴なの?」
「それはね……」

 エーリッヒ大佐が例の博士について語ろうとした瞬間、俺たちの目の前に人型のホログラムが現れた。