第28話 生物兵器ケルベロスを調教する!

 この研究所に住み着く科学者によって作られた3頭の犬ケルベロス
 体高3メートルほどある巨大な黒い犬だ。犬はおとなしく犬奴隷になってもらうぜぇ~。
 ……と思ったらケルベロスは素早い動きで俺たちへ向かって飛び掛かり、先制攻撃を仕掛けてきた!
 ケルベロスは俺たちに接近すると同時に、前足の爪で俺たちを振り払う。
 俺たちはそのまま横へ吹っ飛ばされ壁に激突。オイ!? いってぇ! オイ!
 俺たちが怯んでいる隙にケルベロスは体当たりで追撃してくる!

「まずいな。こいつで足止めできるか……?」

 ミカエルが毒塗り刃”盲目の投刃”をケルベロスの顔へ向けて投げつける。

「キャン!」

 ケルベロスはその場で立ち止まり、目を瞑りながら首を振っている。これで一時的に視界を奪うことができたぜ。

「みんな、突撃するよ~」

 ヨウスケが強化スプレーをまいて俺たちの攻撃力を強化。
 俺は”脚縛りの鞭”でケルベロスの足を縛り、奴の動きを封じる。
 ケルベロスの動きを止めたところで、レイさんがケルベロスの頭部目掛けて竹刀を強く振り落とす!

「動くと当たらないだろォ!?」
「ギャン! (言われなくても動けねぇよ……)」

 よし、レイさんの渾身の一撃がヒットしたぜ。

「ウゥ~! ワオーン!」

 ケルベロスは真ん中の顔の口から炎のブレスを吐いた!

「うわあああっ!!」
「アツゥイ!!」

 俺たちは炎のブレスを受けてしまった。さすが遺伝子操作された生物兵器だぜ……。
 しかしこのままでは体が熱いアツゥイから、俺の特製高圧洗浄機で冷水シャワーをみんなにかける。

「ちょっと痛いけど我慢しろよ~?」
「ふぅ~、生き返ったぜ」
「助かった」
「タツヤさん、ありがとう!」

 ケルベロスへの目眩まし効果はまだ続いているようだ。
 しかし、奴は広範囲ブレスを使うから気をつけないとな。

「ウオーン!」

 ケルベロスは両サイドの顔の口から冷気のブレスを吐いた!
 炎だけでなく冷気ブレスも吐くのかよォ!?

「レイさん、ここは俺たちの炎で乗り切るぞ!」
「タツヤさん、心得たぁ!」

 俺は”炎の鞭”で、レイさんは炎をまとった竹刀で冷気ブレスの力を弱めていく。

「サムゥイ……」

 冷気ブレスを完全には無効化できず、当然俺とレイさんは多少なりダメージを受けている。

「ここは私たちに任せろ」
「いくよー!」

 ヨウスケは”癒しの踊り-HP回復”で俺たち全員の体力を回復。
 ミカエルは必殺技”ラピッドファイア”でケルベロスの3つの顔へ無数の弾丸を浴びせた。
 ケルベロスは「ギャーン!」と鳴きながら前足を上げ、後ろ足で後退りする。
 ケルベロスが怯んでいる隙にレイさんが背後からケルベロスの尻尾をつかみながら背中に乗った。

「本気で怒らしちゃったねぇ! オレのことねぇ! おじさんのこと本気で怒らせちゃったねぇ!」

 レイさんが”おじさんブロー”の構えを取る。
 しかしその時、ケルベロスはその場でがむしゃらに暴れ出した!

「ウオオーン!」
「オイ、動くと当たらないだろォ!?」

 レイさんは暴れるケルベロスに振り落とされまいと必死にしがみつく。
 すると、ケルベロスは上方へ高くジャンプし、下方へ火球ブレスを放った!
 火球は地面へ着弾と同時に爆発し、レイさん以外の俺たち3人が吹っ飛ばされた。

「うわあああっ!!」
「痛いんだよおおおお!!!!(マジギレ)」

 ちくしょう……犬のくせにふざけたことしやがって! もう許さねぇからなぁ?
 ジャンプ中だったケルベロスは後方に着地。
 暴れ疲れたのか、その場で立ちながら息切れしている様子だ。

「じゃあオラオラ来いよオラァ!!」

 ケルベロスにわずかな隙ができたのをレイさんは見逃さなかった。
 レイさんは必殺技”おじさんブロー”でケルベロスの頭部を殴りまくる!

「ギャワン!」

 ケルベロスはめまいを起こし、その場で横向きに転倒した。

「みんな、レイさんが作ってくれたチャンスだよ!」

 ヨウスケの必殺技”超回復術”によって俺たち全員が回復して体勢を立て直した。
 俺は倒れたケルベロスの頭部に近づき、両手に散髪刀を構える。

「犬の丸刈りショーの始まりだぜぇ~。髪なんか必要ねぇんだよ!」

 俺は華麗な手さばきでケルベロスの頭部の毛を丸刈りにする!

「キャンキャンキャン!」

 ケルベロスは悲しそうな鳴き声を発している。犬もハゲると恥ずかしさのあまり脱力するようだ。

「よし、みんなで攻めるぞ」
「さーて、そろそろ調教タイム行くぜ~」
「オラァ! 犬は犬らしくお手をしろォ!」
「化け物はお仕置きだー!」

 倒れているケルベロスを俺たち4人がかりでボコボコにする!
 ついにケルベロスは生命活動を停止。死んだのだ。
 生物兵器のくせに生命力がこんなユルいんかよ。

「あー、またやっちまったぜ~」
「化け物の調教って難しいな」
「いや、だから常識的に考えて無理でしょ……」
「とにかく邪魔者は片付いた。役に立ちそうなものがあれば持ち帰ろう」

 俺たちは引き続きこのフロアの探索を続ける。すると、頑丈な鉄の箱を発見した。
 箱の中を開けてみると、そこには古びた本がいくつか入っていた。

「ん~、この資料は俺らには理解できないな。こんなもん全部読んでたら発狂するぜぇ~」
「とにかくこれで役立ちそうな資料は揃ったし、司令室へ報告しに行こうぜ」
「そうだな、これだけあれば十分だろう」
「やっと帰れるね。もうこんなとこ懲り懲りだよ……」

 資料を回収した俺たちは生物兵器研究所跡地を後にし、軍事基地へ帰還した。