
ここはアメリカ軍基地の司令室。機械に囲まれた司令室の中で一人の男が机で黙々と仕事をしている。
長い金髪、赤い眼、身長は2メートル近くある大柄で筋肉質な中年の男だ。
自信に満ちた落ち着いた物腰で、数々の激戦を生き抜いてきた風格を漂わせる。
「マティアス司令官、失礼します」
司令室にもう一人、男が入ってくる。長い銀髪を持つイケメン軍人のエーリッヒ大佐だ。
エーリッヒ大佐はライナスとの戦いで負傷し、ボロボロの状態で帰還したのだ。
「だいぶ傷を負っているようだな。一体何があった?」
「私としたことが……ソフトクリーム島で薬草を取った後に、軍を襲った例の敵に遭遇してしまいました。しかし、これで軍を襲った犯人が判明しました」
エーリッヒ大佐は写真をマティアス司令官に差し出す。彼は負傷して倒れている間、隙を見てライナスの写真を撮影していたのだ。
「我々を襲った敵の正体は、この男……ライナスという者です。ライナスは特殊な銃や爆弾を操り、私では太刀打ちできませんでした……。その後、偶然通りがかった旅の者たちに救われましたが、ライナスには後一歩のところで逃げられてしまいました」
エーリッヒ大佐に渡された写真を見たマティアス司令官は一瞬驚きの表情を見せた。
「この男は……!?」
「マティアス司令官、何か心当たりでも……?」
「いや、何でもない……」
マティアス司令官はライナスに既視感を感じるも、思い出すことができなかった。
「このライナスという男はなかなかの実力を持った敵のようだな。もしもの時は私自ら出向くとしよう」
「私の実力不足で申し訳ございません……」
「謝る必要は無い。無事に帰還してくれればそれで十分だ。今日はゆっくり休むと良い」
「ありがとうございます。そうさせて頂きます」
エーリッヒ大佐は敬礼をした後、司令室を後にした。
一週間後、俺たちはホモビデオが爆売れして大喜びしていた。
「なかなか儲かったな! 売り上げはみんなで山分けしようぜ!」
「わーい!」
「まさかあんな演技のビデオでも売れるとは思わなかったよ」
「みんなありがとな! おかげで良いビデオが作れたぜ!」
あまり乗り気じゃなかったミカエルとヨウスケも今は立派な従業員だぜ。
「よぉ~し、この調子でもう一本作ってみるか!」
俺がもう一本ビデオ作ろうと意気込んだ時、レイさんが良い提案を思いつく。
「タツヤさん、良い事思いついたぜ。アメリカ軍基地の兵士たちにビデオモデルになってもらうのはどうだ?」
「アメリカ軍兵士たちって、エーリッヒ大佐やナイト軍曹のことか?」
「そうだ。エーリッヒ大佐が米軍基地へ遊びにおいでと言ってくれたし、きっと協力してくれるよ。屈強な肉体を持つ男はホモ界隈でも需要高いぜ」
おお、さすがレイさん、ナイスアイディアだぜ。
「待て、遊びに行くのとビデオモデルになってもらうのでは話が違うだろ」
「そうだよ。軍人さんたちは本業の仕事で忙しいだろうよ」
レイさんの提案に反対するミカエルとヨウスケだが、そんな心配は無用だ。
「いや、エーリッヒ大佐はともかく、ナイト軍曹はいかにも金にがめつい匂いがしたぜ」
「あぁ、黒塗りの高級車を運転してたしな」
「ああいう奴はギャラを払ってやればホイホイ言うことを聞いてくれるはずだぜ」
「そうかなぁ……」
駄目かどうかは行ってみなきゃ分からないダルルオ?
その時、ノートパソコンで調べものをしていたレイさんがついに有用な情報を手に入れた!
「今ネットで調べたぜ。これでエーリッヒ大佐やナイト軍曹がいる軍事基地の場所が分かったぞ。飛行機と電車に乗る長旅になるが、ホモビの売り上げの一部を使えば安いもんだ」
「よし、決まったな! アメリカ軍基地へ向かうぜ!」
「えぇ!?」
「おい、顔見知りとはいえ相手は軍人だからあまり失礼なことはするなよ?」
俺たちは早速アメリカ軍基地を目指して旅立った。レッツゴー アメリカ!
飛行機で長い空の旅を楽しみ、着陸後は電車で移動し、ようやく軍事基地の最寄り駅に到着したぜ。
駅の外へ出てみると、目の前の光景は壮絶で物騒なものだった!
猛スピードで走行する車があまりにも多すぎる。
道を安全に進むには信号機のある横断歩道を少しずつ渡っていく必要があるぜ。
そしてなぜか物騒な物を持ったチンピラどもがウヨウヨしている!
「軍事基地前なのに治安悪すぎるだろオイ!」
「街の治安を守るのは警察であって軍の兵士では無いからな」
「お、そうだな……」
この街の警察はきちんと仕事しろよな!
これじゃ信号待ちするたびにチンピラどもとエンカウント不可避だ。
俺たちの邪魔をするチンピラどもは片っ端から調教するぜ!
「獲物見〜っけ!」
「お前ら見かけねぇ顔だなぁ?」
「金貸してくんねぇ〜?」
しまった! ここのチンピラどもは思ったより素早い!
チンピラの一人がスプレー缶を持って俺たちへ噴射してきた!
頭部に妙な違和感を感じる。頭が寒い。
辺りを見回すと、なんとレイさんとヨウスケの頭がハゲていた!
ということは俺も……?
「タツヤさん、その頭どうしちゃったんだよ!?」
「レイさんこそツルッパゲになってるぞオイ!」
「おれもハゲちゃってる!? そんなの嫌だあああ!!」
頭をツルッパゲにされた俺たちは深い悲しみに包まれた。
あれ? この展開どこかであったような……。
「うっへっへ、みんなハゲろハゲろ〜!」
この野郎! 雑魚の分際でハゲさせてくるとは、もう許せるぞオイ!
「なんて卑劣な奴らだ!」
俺たちの中で唯一フードを被っていてハゲなかったミカエルが、チンピラどもに毒塗り刃を投げつける!
「うお!? 前が見えねぇ!」
「ならテキトーに攻撃してやるぜ〜」
チンピラどもの視界を奪ったが、こいつらはがむしゃらに攻撃する気だ。
チンピラどもは仕返しとばかりに複数のナイフを俺たちへ向けて投げまくる!
ねーイタいーもう! イッタいよもう! ハゲて弱体化しているせいで余計に痛い!
「ここじゃこれを使わざるを得ないね!」
ヨウスケが”癒しの踊り-状態異常回復”で俺たち全員のハゲを治してくれた!
「タツヤさん、オレたちの合体技を見せてやろう!」
「おう、そうだな! お前ら生きて帰れると思うなよ~?」
俺たちがビデオ撮影を終えた後に取得した技をここで試してやるぜ。
~炎の鞭~
鞭に火を付けて広範囲を攻撃する、タツヤの火属性攻撃スキル。
レイさんが俺の鞭に火をつけ、俺は燃え盛る鞭を華麗に操る!
「死ぬ寸前まで痛めつけてやるからな!」
「「「アッー!!」」」
これで目の前のチンピラどもを一掃したぜ。さて、ここからはお約束のアレだ。
俺たちはトドメとばかりに、瀕死のチンピラどもを調教する!
「ワン……ワン……カツアゲしてすみませんでした。お詫びになんなりとお使い下さい」
四つん這いの犬奴隷と化したチンピラどもをついでにビデオ撮影完了。
雑魚のくせになかなか手ごわい奴らだぜ。
この先にも多くのチンピラがうろついている。ここで戦闘終了して安心ってわけにはいかないぜ。
その後も俺たちは遭遇したチンピラどもを片っ端から調教しつつ先へ進む。
しばらく進むと、ようやくチンピラのいない道路へたどり着いた。
だが、そこで俺たちは見た光景は……。
「何だあの道路!? 車が全然途絶えないよ!」
「ファッ!?」
「どうやら信号機が稼働していないみたいだな。こんなんじゃ横断できない、どうする?」
車の交通量が非常に多い上に信号機が稼働していない、まさに地獄の道路だ!
この道路を無理やり渡ろうとした人間がいたのか、血痕がいくつも道路に染みついている。
俺たちはこの地獄の道路を無事に渡りきることができるのか!?